KEY OF FUTURE
CASE 01

商社の社会的使命として、
持続可能な
リサイクルPET事業を実現

今、海に大量に流れ込み海洋を汚染する
プラスチックごみが、世界的な問題となっている。
いわゆる「海洋プラスチック問題」だ。
三菱商事プラスチックは、
国内でPETボトルの原料である
PET樹脂を供給する商社の社会的使命として、
この問題に真摯に向き合い、
環境負荷低減に資する
「リサイクルPET事業」に取り組んでいる。

KEY PERSON

PET樹脂本部
執行役員 PET樹脂本部長

金 椿宗
Choon-Jong Kim

01 最も短期間に効果が
出る方法として

プラスチックによる環境負荷を低減する方法としては大きく二つ、植物由来原料で作られたバイオプラスチックや生分解性プラスチックなどの代替素材活用の取り組みと、リサイクル材へのシフトが挙げられる。三菱商事プラスチックとしてその二つを同時に推進していく考えだが、どちらに関しても未だ全ての要求を満たす技術は開発途中であり、目標達成にはさらに時間がかかることが予想される。

そこで当社が着目したのが、三菱商事プラスチックが長年取り組んできたPET樹脂である。物性の異なる素材を組み合わせて機能強化したプラスチックは分解・分離できず、リサイクルを行うのは困難。一方、PETボトルの原料であるPET樹脂は単一素材で構成されており、PETボトルをPET樹脂に戻すのは比較的簡単だ。しかも、日本国内で使われるPETボトルの85%強が回収されている現状がある。金は思った。「PET樹脂はプラスチックの中で最もリサイクルに適しており、当社が環境対応に取り組む案件として最も短期間で効果が出る。」

PETボトルに使われるPET樹脂のペレット

02 資源PETの有効利用を通じ、
持続可能な
循環サイクルの実現へ

PET樹脂の循環サイクルを構築するには大きな課題がある。それは、中国や東南アジア諸国が2017年以降に導入した廃プラスチック輸入規制とバーゼル条約による輸出規制強化によって、これまで海外へ輸出されていた低品質な資源PETが国内に滞留されていることだ。その一方、この低品質な資源PETを有効利用できれば、リサイクル材へのシフトが加速し、PETボトルやPET樹脂の循環サイクルが実現できる。

循環サイクル実現に三菱商事プラスチックは積極的に貢献していく考えだ。「サイクルの中にいる当社は、親会社の三菱商事とともに低品質な資源PETでもリサイクルが可能なケミカルリサイクル※1事業への参画。そして、ケミカルリサイクルPET樹脂の使用領域を広げることで、循環型社会への移行に対応します。」
そして、サイクルの中にいる他の関係者、つまり、再資源化・樹脂製造・製品加工・流通・リテールの主要業界プレーヤーと当社が協力関係を強化していけば、持続可能な循環サイクルを実現できるに違いない。当社はそう考えている。

  • ※1ケミカルリイサクル:化学的手法により高収率で分子に戻し、PET樹脂原料・中間原料につくり直す方法。回収された資源PETを洗浄、粉砕してペレット化した上で、それをPETボトルに成型するメカニカルリサイクルと異なり、低品質な資源PETであっても原料として使用することが可能。

PETボトル、PET樹脂の循環サイクル

03 商社機能を強化し、
新たなビジネスを

現在、リサイクルPET事業の立ち上げに向けて、強固な循環サイクルの構築を進めており、本格稼働は2021年以降を予定している。「リサイクルPET事業が実現することによってPETボトルおよびPET樹脂の価値が高まることを期待します。また、当社は商社の機能強化を図り、新たなビジネスモデル構築を目指します。」

世界のリサイクル目標設定は、2025年から2030年にかけて使用済みPETボトルの50%〜100%をリサイクル材およびバイオマスに置き換えること。そうした中、当社がリサイクルPET事業に踏み出した意義は大きく、かつ業界に与える影響も多大だ。その使命感こそが、金の事業にかける情熱の源泉である。

三菱商事プレスリリース「循環型PET製造事業への参画」
三菱商事は、タイにて飲料ボトル用PET樹脂の製造を展開するThai Shinkong Industry Corporation Ltd.(以下「タイ新光」)へ増資しました。

三菱商事 石油・化学グループ の一員として、
生活に密着したプラスチック
並びにあらゆる関連商品を生み出す原料から
製品として使用される現場まで、
皆様のいかなるニーズにも
パートナーとしてお応えします。