KEY OF FUTURE
CASE 02

物流現場が抱える課題解決に
物流資材レンタル・リサイクル事業強化で貢献

日本の少子高齢化の加速に伴い、
国内企業の人手不足が叫ばれている中、
物流・倉庫業界は、
ECサイトなどの普及により物流需要は高まる一方、
深刻な人手不足の危機にさらされている。
そこで、三菱商事プラスチックは、
食品会社や飲料会社を中心に
従来から展開してきた、
物流資材の「レンタル・リサイクル事業」
機能強化に取り組み、
物流現場が抱える課題解決に貢献する。

KEY PERSON

工業樹脂本部
物流資材部長(※取材当時)

桑沢 克彦
Katsuhiko Kuwazawa

01 物流の効率化を実現する
パレット輸送を普及するには

現在、流通系物流センターでは、トラックの荷下ろし完了までに多大な時間を要する事態が多く見られる。なぜ、このような非効率な事態が続いているのか? その理由の一つに、トラックからの荷下ろしの時間を短縮化できるパレット輸送が導入されていないことが挙げられる。
これまでもパレット輸送は、重量物や商品荷姿が比較的均一に近い業界では広く活用されていた。しかし、従来パレットは工場内や倉庫内での商品運搬・保管の下敷きに使用するものとの考えが強く、また軽量物や商品荷姿が均一でない業界では、輸送効率低下(1台のトラックに積める商品積載数)から、パレット導入が見送られていた。そのためトラックのドライバーが時間をかけて、手積み、手降しする状況が続いているのだ。

しかし今、流通系物流センターでもパレット導入への期待が高まっている。その背景には、トラックドライバーの過酷な労働条件の裏にある「倉庫会社の人手不足」の実態がある。
「現在、商品をトラックで配送する際、積載効率重視より、ドライバーの拘束時間短縮の方が全体効率に繋がると考える企業が多く出てきていると聞いています。」
三菱商事プラスチックはこれまで特定の取引先を対象にプラスチックパレットを取り扱ってきた。その経験・ノウハウを活かしてビジネスを広げていくチャンス。桑沢はそう考えた。しかし、大きな問題もあった。「パレット輸送導入のネックとなるのは、購入するとなるとコストがかかり、また輸送後の空パレット回収などの課題があること。それをクリアするために今後、レンタル事業が広く求められると感じました。」

  • 商品をトラックで積載する際、バラ積みで輸送すると、ドライバーが手で積んで手で降して運ぶことになり、ドライバーの拘束時間が長くなる。一方、パレット輸送に切り替えるとフォークリフトで運べるため、飛躍的にドライバーの拘束時間が短縮できる。
物流現場を支える投資先のレンタルパレット

02 レンタル×
マテリアルリサイクルで
社会貢献を

今、世界では「海洋プラスチック問題」が話題となっている。しかし、三菱商事プラスチックは、はるか以前から、環境問題に取り組んできた。1960年代に、当時流通していた木製箱からプラスチック製容器への切り替えを提案し、急速にプラスチック容器需要は拡大。さらに1970年代には、使用済プラスチック容器の処理の検討に入り、1980年代には使用済プラスチック容器を回収し、粉砕加工し再生材として活用する、マテリアルリサイクル※1を確立させている。

そんな中、パレットレンタルビジネスは、パレット(リサイクル樹脂原料)を用いたレンタルスキーム(リユース)であり、パレットの共同利用が進みパレット総量を減少(リデュース)することで3R※2を実現するビジネスモデルである。
「本事業は、すでに三菱商事プラスチックが持つリサイクルノウハウを、レンタル事業拡大を通じてさらに拡大していくことができます。プラスチック商社としての社会的使命として、当然取り組むべき事業だと思っています。」

  • ※1マテリアルリサイクルとは使用済プラスチック容器を回収し、粉砕加工し再生材として活用すること。
  • ※23R=Reduce、Reuse、Recycleの総称。Reduceは製品を作る際の資源の量を少なくし、廃棄物の発生を少なくすること。Reuseは、使用済み製品やその部品を繰り返し使用すること。Recycleは廃棄物を資源として再び有効活用すること。

03 レンタル×
デジタルトランス
フォーメーション(DX)へ

シェアリングエコノミー(インターネットを通じて、モノの場所、スキルや時間などを共有する経済の形)の台頭による「Uber」や「Airbnb」が話題となっている今、その他の分野でも様々なシェアサービスが展開されようとしている。「今は自社で資産を保有する時代ではない。レンタル会社を活用して必要な時、必要な分だけ使う時代がきています」

三菱商事プラスチックは、これまでもレンタル事業やリサイクル事業を展開してきた。しかし、これらは特定の業界に限られ、あくまで点と点のビジネスだった。それを、業界全体を網羅する面のビジネスへ広げていくことで、シェアサービスという時代の要請に応えることができる。桑沢はそう確信している。
そこで取り組んでいるのが、物流資材のレンタル会社との協業だ。「三菱商事プラスチックが物流資材業界で培ったノウハウと、レンタル会社の知見・経験を結集させることにより、よりレンタル事業の効率化や高度化が実現できると考えます」

この取組みを通じ、レンタル物流資材の共同回収の仕組み、単一企業ではなく、業界全体を網羅する仕組みを構築し、ユーザー様の要望に応えていく。さらに、桑沢はその先の展開も見据えている。「今後、デジタル化が進む中で、物流資材レンタル業だけでは生き残れない時代が到来する可能性も考えていく必要があります。目標はレンタル×デジタルトランスフォーメーション(DX)を掲げ、三菱商事グループが持つ、それぞれの機能を活用しながら、情報提供サービスを含めた新たな物流資材レンタルビジネスモデルを構築すること。本事業はその目標に向けた一歩と考えています」

三菱商事 石油・化学グループ の一員として、
生活に密着したプラスチック
並びにあらゆる関連商品を生み出す原料から
製品として使用される現場まで、
皆様のいかなるニーズにも
パートナーとしてお応えします。